- 歯石と歯垢の大きな違いはなに?
- それぞれのケア方法が知りたい
健康な歯を保ちたいけれど、歯石と歯垢の違いについてはよくわからないと悩む人は多いです。
この記事では、歯石と歯垢の基本的な知識とそれぞれの予防方法について解説します。最後まで読めば、自宅での歯垢対策や、歯科医院での歯石除去の流れがわかります。
歯の健康を維持するためには、歯垢と歯石の違いを理解し、適切な対策をとることが重要です。毎日の歯磨きに、歯科医によるプロの技術を組み合わせて、正しいオーラルケアを始めましょう。
歯石と歯垢の基本知識
歯石と歯垢は、口腔内で発生しやすい問題です。歯垢と歯石について、それぞれ確認しましょう。
歯垢とは白いネバネバした細菌のかたまり
歯垢は、食べ物の残りかすや唾液に由来する細菌の生物膜です。歯の表面に付着しやすく、白っぽくネバネバしています。プラークとも呼ばれ、口内の細菌が繁殖する基盤を形成します。
口内環境を整えるためには、日々の歯磨きが重要です。歯垢を定期的に取り除くことが推奨されています。放置された歯垢は、時間が経つにつれて硬化し、歯石へと変化します。早めのケアを行いましょう。
歯垢は口臭の原因になったり、歯周病のリスクを増加させたりします。毎日のていねいな口内ケアで、歯垢が歯石になる前に除去することが大切です。
歯石とは歯垢が石灰化して硬くなったもの
歯石は、放置された歯垢が唾液中のカルシウム成分と反応し、時間とともに石灰化したものです。長い時間をかけて、硬い歯石へと変化します。着色しやすい特性で、黄色や茶色に見えることもあります。
»歯の色素沈着について解説
歯石は、日々のブラッシングではなかなか除去できません。歯科医院で定期的なクリーニングが必要です。歯科医による専門的なクリーニングで歯石は除去され、口腔内の衛生状態が改善します。
歯垢と歯石の違い
歯垢と歯石は、口内の衛生状態を左右する重要な要素で、それぞれ異なる特徴があります。正しい口内ケアを心がければ、問題の発生を未然に防止できます。歯垢と歯石の違いを理解して、歯の健康維持に役立てましょう。
形成過程の違い
歯垢と歯石の形成過程の違いは明確です。
- 歯垢:日々の食事や飲み物によって生じる
- 歯石:歯垢が硬化し、長期間口内に存在することで形成される
歯垢はプラークバイオフィルムとも呼ばれ、ブラッシングによって比較的簡単に除去できます。
歯石は、唾液中のカルシウムやリン酸と歯垢が結びつき、ミネラルが沈着して石灰化し形成されます。歯垢から歯石になるまでの期間は、数週間から数か月です。とくに歯垢の除去が不十分な場合に、歯石が形成されやすくなります。
見た目と質感の違い
歯垢と歯石は、見た目と質感にも違いがあります。
- 歯垢
- 歯垢はやわらかく、白っぽい色か黄色がかった色をしていて、ネバネバとした質感が特徴です。指や歯ブラシを使って、比較的簡単に取り除けます。
- 歯石
- 茶色や黒っぽい色が目立つ上に、硬い質感を持っているのが歯石です。不規則な凹凸を持ち、ざらざらとした感触があります。歯の根元や歯肉の境目に堆積し、目に見えにくい場合もあるので注意が必要です。
見た目と質感の違いを知って、適切なオーラルケアにつなげましょう。
除去方法の違い
歯垢と歯石の除去方法も大きく異なります。歯垢は毎日のブラッシングやフロスを使って簡単に取り除けます。歯石は一度硬くなってしまうと、自分で取り除くことは非常に困難です。
歯石を取り除くときは、専門家の手を借りましょう。歯科医院で、スケーリング(※1)やルートプレーニング(※2)といった専門的な処置を行います。超音波を使ったデバイスや手動のスケーラーを用いて、歯石をていねいに取り除くので効果的です。
歯石を予防し口内環境を整えるためには、歯科医院での定期的なチェックやクリーニングがおすすめです。
※1 スケーリングとは、歯垢や歯石を除去する処置のこと。歯垢が硬くなった歯石は、歯ブラシによるブラッシングや歯のクリーニングでは落とせません。スケーリングには、手用スケーラー、超音波スケーラー、エアスケーラーなどがあります。
※2 ルートプレーニングとは、歯根の表面を器具でなめらかにする治療のこと。歯石除去後に歯周病の進行を防ぐために行われます。
歯垢と歯石を予防する方法
歯垢と歯石を予防する方法は、大きく分けて3つあります。
- 正しい歯磨きを行う
- フロスや歯間ブラシを活用する
- 正しい生活習慣を身につける
歯垢を放置すると歯石に変化し除去が難しくなるため、初期段階での対応が必要です。ポイントを意識して、毎日のケアを行ってください。
正しい歯磨きを行う
口の中の健康を守るためには、正しい歯磨きが非常に大切です。歯垢と歯石の予防には、毎日の歯磨きが重要な役割を果たします。具体的な方法は、以下のとおりです。
- 毎日2回、朝晩の歯磨きを欠かさない
- 歯磨きは1回あたり2~3分かけて、ていねいに行う
- 歯ブラシの毛先は歯に垂直方向に45度の角度で当てる
- 小さな円を描くように歯と歯茎の境目を優しくブラッシングする
- 上の歯は上から下へ、下の歯は下から上へと、歯茎から歯へ向かって磨く
- 歯磨き粉はフッ素配合のものを使用する
- 舌や頬の内側もブラッシングして口腔内の清潔を保つ
- 電動歯ブラシの使用も効果的な歯磨きにつながる
- 歯磨きを急がず、隅々まで磨き残しのないよう注意する
- 歯磨き後は、うがいを数回して歯磨き粉の残りをしっかり洗い流す
正しい方法で歯磨きを行えば、歯と歯ぐきの健康を保ち、トラブルを未然に防げます。
フロスや歯間ブラシを活用する
歯と歯茎の健康を保つために、フロスや歯間ブラシを活用するのも重要です。歯ブラシだけでは届かない箇所のケアには、フロスや歯間ブラシが欠かせません。
- フロス
- 毎日使用することが望ましく、寝る前のケアがとくに効果的です。
- 歯間ブラシ
- 正しいサイズ選びが重要です。歯間のすき間にぴったりあったサイズを見つけてください。
定期的にフロスや歯間ブラシを使えば、歯石の形成を予防し、歯と歯ぐきの健康維持が可能です。
正しい生活習慣を身につける
正しい生活習慣も、歯垢や歯石の予防に非常に役立ちます。
- 定期的な食事時間を設け、食生活のリズムを整える
- バランスのよい栄養摂取を心がける
- 十分な水分を摂取し、口腔内を清潔に保つ
- 禁煙や適度なアルコール摂取に努める
- 定期的な運動を行い、血行をよくする
- 糖分や酸性の飲食物の摂取を控えめにする
- 規則正しい歯磨きの習慣を確立する
- 定期的な歯科検診を受ける
ストレス管理や十分な休息、質のよい睡眠は全身の健康を保つためにも必要です。生活習慣が整っていると、歯や口腔の健康を維持するための基盤が作られ、歯垢や歯石の形成もおさえられます。
摂取を避けたい飲食物の例
- 糖分の多い飲食物
糖分を多く含むケーキやアイスクリーム、キャンディ、ガム、炭酸飲料や清涼飲料水などがあげられます。
- 酸性の飲食物
酸性の食べ物で注意が必要なのは、オレンジやレモン、グレープフルーツなどの柑橘類です。柑橘系の果物には、強い酸性が含まれているので、歯の表面が溶け出す恐れがあります。
歯垢を自宅で除去するポイント
自宅での歯垢除去には、正しい方法と道具を選択することが重要です。効果的な歯磨き粉の選び方と、自宅でできる歯垢対策アイテムの使い方を解説します。
効果的な歯磨き粉の選び方
効果的な歯磨き粉は、次のポイントをおさえて選びましょう。
- フッ素配合の歯磨き粉を選ぶ
- 研磨剤が少ないものを選ぶ
- キシリトール配合で、虫歯予防効果が得られるものを選ぶ
- 口内環境を整える成分を含む製品を選ぶ
- 口内環境にあった成分を含む製品を選ぶ
- 安全性が確認された製品を選ぶ
- 歯科医師の推奨する歯磨き粉を選ぶ
- 口臭予防が可能な成分を含むものを選ぶ
- 着色汚れを防ぐ配合成分があるか確認する
- 低刺激であるか、成分をチェックする
歯磨き粉の成分は、虫歯予防や口臭ケア、着色汚れの防止など、さまざまな効果が期待できます。歯垢対策アイテムと組み合わせれば、さらに有効な予防策が可能です。
セルフケアだけでは、完全な歯垢コントロールは難しいです。定期的な歯科医院でのクリーニングもあわせて行いましょう。ケアを継続して歯垢の蓄積を防ぎ、健康な歯と歯ぐきを維持してください。
自宅でできる歯垢対策アイテムの使い方
自宅で行う歯垢対策には、さまざまなアイテムが役立ちます。効果を最大限に高めるためにも正しい方法で使用しましょう。
電動歯ブラシの使用方法 | 適切な圧力で歯表面と歯間を磨く |
歯間ブラシの正しい挿入方法 | 歯間に優しく挿入し、小刻みに動かして汚れを除去する |
フロスの使い方 | 歯と歯の間にフロスを滑り込ませ、上下に動かしてプラークを取り除く |
水で使うデンタルリンス | 食後のすすぎに使い、残った食べかすや細菌を洗い流す |
舌クリーナーの活用 | 舌の表面を軽くこすって口腔内の細菌を減少させる |
マウスウォッシュの適切な使用 | 一定時間口をすすぎ、殺菌効果で歯垢の形成を抑制する |
健康な歯を保つためにアイテムをうまく活用して、自宅でのオーラルケアを充実させましょう。
»歯垢の取り方を解説
歯科医院での歯石除去
歯科医院での歯石除去は、自分では取り除けない歯石をきれいにできます。歯科医師や歯科衛生士が専門の器具を使って、歯石をていねいに取り除くからです。
歯科医院での歯石除去の流れと、歯石除去後のケア方法について理解しましょう。
歯石除去の流れ
歯石除去は、口腔内の健康を維持するために非常に重要なプロセスです。歯科医院での歯垢除去の流れは、次のとおりです。
- 初診時に口腔内の検査
- 歯石の範囲と量を確認
- 歯石除去のための機器の準備(ウルトラソニックスケーラー(※3)による高周波の振動で、歯石を効果的に取り除く)
- 歯石の除去処理(スケーリング)
- 歯の表面をなめらかにするための研磨(ポリッシング)
- 歯肉の状態と出血の確認
- 予防指導とアフターケアのアドバイス
使用する道具は、スケーラーやキュレット(※4)などです。歯の表面や歯口のラインに沿って、歯石を効果的に除去します。痛みを極力おえるために、患者さんの状態に応じて局部麻酔を使用するケースもあります。
歯石除去では、超音波機器の利用が一般的です。石灰化した歯垢を砕きやすくします。手作業での細かい部分のクリーニングも重要で、歯科医師の技術が光ります。
歯石除去は、基本的に痛みを感じない処置です。ただし、歯が敏感な人は、不快感を覚える可能性もあります。個人差があると覚えておきましょう。
歯石除去後は歯の表面がなめらかになるので、プラークの付着が防げます。フッ素を塗れば歯質を強化し、虫歯のリスクを下げることも可能です。
※3 ウルトラソニックスケーラーとは、超音波振動により歯の表面についている歯石を除去する器具のこと。歯周ポケット内の歯石や、分厚く硬い歯石もきれいに除去できます。
※4 キュレットとは、歯の根についた歯石を取り除くために使われる治療器具のこと。キュレットについている小さなブレードで、歯根表面をかき出してなめらかにします。
歯石除去後のケア方法
歯石除去後のケアも大切なポイントです。歯科医院での専門的なケアを受けたあとは、自宅でのアフターケアをしっかり行いましょう。歯石の再形成を防ぎ、口内環境を清潔に保つ助けになるからです。
- 歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯間の清掃を徹底する
- やわらかい食事をとって歯肉への負担を減らす
- アルコールや砂糖の多い飲食物を控える
歯石除去後は、歯ぐきが敏感です。とくにていねいな歯磨きを心がけてください。歯科医院で推奨された口内洗浄液の利用も効果的です。
定期的に歯科医院でのフォローアップを受けるのもポイントです。正しいブラッシング方法や、自宅ケアの指導を受けましょう。 痛みや出血がひどい場合は、すみやかに歯科医に相談してください。
歯石除去後のケアは、歯石除去の効果を長持ちさせ、健康な口内環境を維持するために役立ちます。
まとめ
口腔内の健康を保つためには、歯垢と歯石の違いを理解して、適切なケアを行うことが欠かせません。正しい歯磨きやフロスの使用、健康的な生活習慣によって予防が可能です。
- 歯垢は細菌の集合であり、歯石は歯垢が硬化したものである
- 歯垢と歯石は形成過程や見た目、質感、除去方法が異なる
- 効果的な歯磨き粉を選び、歯垢対策アイテムを使う
とくに歯石は、自宅でのケアだけでは取り除くことが困難です。定期的な歯科医院でのケアを受けてください。歯科医院では、専門的な歯石除去とその後のケアが受けられます。
自宅でのケアと歯科医院での定期的なメンテナンスをあわせて行い、口腔内の健康を守りましょう。